蒐感エスプレッソ

蒐感(しゅうかん)=所感を蒐(あつ)める

近藤 (2009) 『移民政策研究』創刊号

近藤敦(2009)「なぜ移民政策なのか 移民の概念,入管政策と多文化共生政策の課題,移民政策学会の意義」, 『移民政策研究』, vol.1, 2009.

http://iminseisaku.org/top/pdf/journal/001/001_006.pdf

 

  • 移民の語は多義的。日本ではかつてはemigrantを移民と呼んだ。
  • 国連では「migrant」。国連統計上、多くの国はmigrant=「外国生まれ」としており、「外国籍者」の数値を出しているのは日本・ドイツ等少数派。

  • 移民政策の二つの面→ 出入国管理政策/統合政策
  • 日本には「外国人数」の統計はあるが、「外国生まれの日本人」の数字がない。統合政策の乏しさに起因。
  • スウェーデン:外国生まれの者+国内生まれだが両親とも外国生まれの者 の統計が主
  • オランダ:少なくとも一方の親が国外で生まれた者(=移民1世・2世)
  • フランス:移民(immigré)=外国で外国人として生まれてフランスに住む者

  • 日本の移民政策の特殊性。なぜ高度成長期に他国と異なり外国人移民を受け入れなかったか?
  • 法務省(1980)「入管白書」:①人口過密、②単一民族、③農村部→都市部の人の移動、④オートメーション、⑤主婦・学生等外部労働市場依存、⑥長時間労働
  • 難民受理数極少。厳しい時間的制約・高水準の立証義務(UNHCR, 2001)のほか、申請者の申請中の権利保障の弱さ。

  • 日本の基本方針は「単純労働者は受け入れない」
  • しかし、1990年改正入管法法務省告示→日系人とその家族に(就労可能な、活動制限のない)「定住者」の在留資格
  • 在日3世への「特別永住者」とのバランス? しかし、4世以降は特別永住者を認めつつ定住者を認めるのは慎重。
  • 1993年、技能実習制度。
  • 非正規滞在者への「一般アムネスティ(=一定基準を満たす非正規滞在者の一括正規化)にはドイツ同様慎重。

  • 「統合政策integration policy」の多義性。
  • オーストラリア: 同化政策 → 統合政策 → 多文化主義政策 という政策の歴史
  • 欧州: すべて含めて「統合政策」と呼ぶ。多文化主義的統合政策(スウェーデン)、同化主義的統合政策(フランス)
  • 日本では「多文化共生」の名。ただし政策的に確立した語ではない。(憲法1条「天皇は日本国民の統合の象徴」との関係?ただしこの統合=unity)

  • 外国人集住都市会議(2001年設立、群馬・静岡・長野・岐阜・愛知・三重・岡山より15市町)
  • 外国人子弟への「教育の義務化」が必要との提言。誰にとっての義務? カリキュラムは?

  • Niessen et al (2007): EU各国の統合政策の到達度を数量評価。
  • ①政治参加、②労働市場参加、③家族呼び寄せ、④永住権、⑤国籍取得、⑥差別禁止法制 に基づく。